就労支援の現場で工賃を上げたい、でも無理なく続けられる“やりがい”も大切にしたいという声は常にあがります。
うまく成功させる秘訣は、1日の流れを“役割分担”で構成し、生産性・品質・利用者さんの健康の3点を同時に育てることが非常に重要です。
こちらの記事では、古着リユースや軽作業、EC出荷対応など汎用性の高い業務を例に、支援員・利用者双方が運用しやすい日課と仕組みを提案します。
1日の基本タイムライン(例)

08:30–09:00|朝の準備・体調チェック・目標設定
- 血圧・睡眠・気分などを“体調カード”で記入
- 作業環境(照明・温度・騒音)の微調整
- 今日の役割と個人目標をホワイトボードに掲示(例:検品15点/誤検出0/チーム達成率90%)などを確認する
09:00–10:30|生産①:主工程
- 役割分担(後述の“多能工ローテーション”)に沿って主工程を回す
- ジョブコーチが30分おきに巡回し、手順の詰まりや姿勢を微調整
- 「静かな席」「相談席」を明確に分け、集中とヘルプを両立
10:30–10:45|休憩(マイクロリカバリー)
- 立ち上がりストレッチ、白湯、目のリフレッシュ
- 感覚過敏がある人には“静音コーナー”を用意
10:45–12:00|生産②:主工程+品質強化
- 検品・タグ付け・撮影・データ入力などの二次工程を強化
- エラーは 責めずに可視化する
- 発見=貢献と捉え、再発防止ノートに要因と対策を一行で記入
12:00–13:00|昼食・休憩
- 休憩前に手指・作業台の衛生チェック
- 食後はリラクゼーション・軽い運動などを取り入れる
13:00–14:30|生産③:受注・梱包・発送オペ/得意分野伸長
- EC対応(受注確認→ピッキング→梱包→伝票)や、セット組み・内職加工を実施
- 得意がある人は“スペシャリスト枠”として重点配置し、品質のアンカーに
14:30–14:45|休憩
- 甘味・水分補給OK。午後の集中に備える
14:45–15:30|スキルアップ枠/ジョブクラフティング
- 写真の構図練習、商品コメント作成、接客ロールプレイ、PC入力練習など
- “やりたい”を1つ選び、短い課題をクリアして小さな達成感を積む
15:30–15:50|日計・見える化・原価意識
- 当日の生産点数・良品率・リードタイムをホワイトボードに転記
- 工賃プールの見込み額を簡易試算し、翌日の改善ポイントを1つだけ決める
15:50–16:00|終礼・ふりかえり
- KPT(Keep/Problem/Try)を一人一言
- 明日のローテーションを確認し、必要な配慮(通院・体調など)を共有
役割分担の設計(多能工ローテーション)

- 検品係:汚れ・破れ・不具合の判定、簡易補修の一次対応
- クリーニング:スチーム、糸処理、磨き、アイロン等
- 撮影・採寸係:台紙・背景管理、寸法計測、型番メモ
- データ入力・出品係:商品名・特徴・サイズ表の入力(テンプレ活用)
- 品質管理係(QC):出荷前の最終チェック、エラーの横展開
- 梱包・発送係:緩衝材選定、送り状、集荷依頼、同梱カード作成
- 在庫・備品管理係:棚番、ラベル、残数のスプレッドシート更新
- カスタマー係:問い合わせテンプレ返信(支援員監督のもと)
- 週次でローテーションし、希望や得意を反映
- 新人は“影(シャドウ)→半工程→全工程”で段階的に習得
- 安全・衛生責任者とヒヤリハット記録係を常設し、安心感を担保
工賃を高める仕掛け
- 基本+技能手当:基礎工賃に、認定スキル(撮影・QC・PC入力など)の手当を上乗せ
- 出来高ボーナス(チーム単位):個人追求に偏らないよう、ライン全体の達成率で加点
- 品質ポイント連動:良品率や返品ゼロ日数に応じて小額でも確実に還元
- 改善提案手当:手順短縮・資材削減などの改善が定着したら報奨
- 見える化:当日売上(見込み)・原価・工賃プールを簡易ダッシュボードで表示
例:1日の出荷20点×平均単価1,500円=売上3万円/粗利60%=1.8万円
工賃プール30%=5,400円を参加者で分配+技能・品質手当で個別加算。
“数字がわかる”は納得感とやりがいの源泉です。
“やりがい”を生む体験設計
- ジョブクラフティング:商品ストーリーを書きたい人はコメント係に、細かい作業が得意な人はQCに、色合わせが好きな人はコーデ提案カード作成に…“好きを仕事に”を意識的に組み込む
- 称号・バッジ制度:「検品名人」「梱包マイスター」など視覚的に評価
- 顧客の声ボード:レビューやお礼状を掲示。自分の仕事が社会につながる実感を可視化
- 環境貢献の見える化:リユース点数=CO₂削減の概算を週次で表示。誇りを共有
- 制作物への“名入れ”:チーム名やイニシャルを同梱カードに入れ、責任感と喜びを両立
支援員の動きと個別配慮
- 30分サーキット支援:姿勢・手順・認知負荷を点検し、詰まりを早期解消
- 刺激コントロール:イヤーマフ/サングラス/スペース配慮で過負荷を予防
- 体調連携:服薬・睡眠・通院予定を把握し、無理をさせない日課設計
- 記録の簡素化:作業ログはチェックボックス+短文のみにし、書類負担を最小化
- 週次1on1:KPIだけでなく、感情・希望・人間関係を確認し、配置や学習計画を更新
デジタル活用(低コストで十分)
- テンプレ群:出品文・問い合わせ返信・梱包チェックリスト
- スプレッドシート:棚番・在庫・作業点数・工賃計算を一元管理
- バーコード/QR:棚・商品・作業票を簡易連携し、誤出荷を削減
- タスクボード:今日やること/完了を可視化。完了列が“達成感の壁”に
リスク管理と安心安全
- ヒヤリハット即時共有:原因を責めず、仕組みで再発防止
- 衛生・感染対策:入室時の手指消毒、作業台の定時清掃、資材の置き場固定化
- 身体負荷の平準化:立ち作業と座り作業を交互に配置。重量物は台車・二人運搬を徹底
- 欠員時の代替表:誰がどこを代替できるかを表化し、当日の混乱を最小化
評価とキャリアパス
- スキルマップ:工程ごとに「見学→補助→単独→指導」の4段階で可視化
- 等級制度:リーダー手当、教育係手当を明確に
- 外部連携:企業見学・職場実習への橋渡しを月次目標に据える
- ポートフォリオ:撮影写真、改善事例、レビュー評価を“成果ファイル”として蓄積し、一般就労や社会参加の自信に
まとめ:小さな成功が工賃も心も押し上げる

いかがだったでしょうか?
今回はの記事では役割分担で『工賃×やりがい』を両立する方法をざっくり箇条書きにて紹介させていただきました。
このように、1日の流れを「役割分担×見える化×ローテーション」で組み立てると、作業が“ただの作業”から“価値の連鎖”に変わります。数字(工賃・生産性)と感情(やりがい・誇り)を両立させるコツは
- 目標を小さく分解し、達成を毎日祝うこと
- 得意・好きを工程に織り込み、役割を称えること
- 品質と安全を“責めない仕組み”で守ること
この設計をベースに、現場の特性(古着、食品、内職、ECなど)へ微調整すれば、無理せず続けられる“強い日課”になると思います。
今日からできるのは、①役割の名札と簡易ローテ表、②当日KPIのホワイトボード、③KPT一言ふりかえり。この3つだけでも、工賃とやりがいの両輪は確実に回り始めます。
健常者でも難しいことを指導するわけですので、皆さんの苦労は大変なものだと思いますが、古着を使って事業所の収益を上げたいのであれば、一つ一つ課題をクリアにしていき、誰でもできる雛形を作ることで、早く軌道に乗るかもわかりませんね。
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